え、ええ、まあいいですけど……。てユキエさん、真剣すぎる眼差しがコワい。
【「キメ細かいうるおい肌」って?】①肌のキメと構造

【相談者①】Aさん
年齢:20代後半
悩み:慢性的なかさかさ乾燥肌

【相談者②】Iさん
年齢:40代後半
悩み:お肌のハリが気になる。


キメってなに?
-イヤ~、それにしてもエリさんは、いつもお肌がツルンとしてキレイですね。ちょっとツツいてみていいですか。
(ツツくかは別にして)本当にキレイですよね。いいな~、まさにキメが整っているお肌! わたしは乾燥がひどくて、化粧のりがいつも悪いんです。
あ、今、いいキーワードが出ましたね。せーの!
―キメ!……あれ、一人か。

えっと、そもそもキメってなんのことだが分かりますか?
うーん、肌の表面を作っている網目、みたいなものですか? 手の甲だとよく分かるんですけど。
あ、そうです。さすがに美容好きを公言されているIさん。まさに手の甲が分かりやすいんですが、網目状の凸凹があると思います。この三角や四角の網目(皮丘)が小さく整然と並んでいて、さらにこの形を縁取っている溝(皮溝)が細く深い状態が、いわゆる「キメが整った肌」なんです。
―あー、たしかに愛子さんのお肌は細かな三角の集合体って感じで、触り心地もツルンツルン。全体的に細胞ひとつひとつが盛り上がっている感じですね。
うらやましい~。わたしの肌はキメが粗くてハリもない……。化粧水も乳液もたっぷり使っているのに。
あ、それはありがちな間違いです。
え……。
皮膚の層の構造って?
じゃあまず、皮膚の構造から簡単に説明を。
皮膚って大きく3層が重なってできているんです。で、一番上(つまり表面の肌)が表皮。表皮をさらに細かく見ると、角質細胞が約20層にも積み重なっている層が一番上にあり、それを「角層」といいます。その厚さ0.02mm。
なんですが、この厚みで外部刺激から内部を守ったり、内部の水分が出て行かないようにしたりと、大活躍してくれています。
―なるほど、城壁みたいなものですね。あれ、違うかな……。
そんな感じですね。そしてさらに角質細胞の層の下には、「基底層」という別の層があります。この基底層で表皮細胞が生まれ、だんだん上がっていって角質細胞になります。さらにここにはメラノサイトも含まれているんですよ。

メラノサイトって、あのシミの原因「メラニン色素」を作るやつ、ですよね。
そ、そいつです。でもメラニンって、紫外線から肌を守ってくれるものなので、なくてはならないものなんですよ。ま、とりあえず、(メラニンの説明は別の機会で)基底層は様々な外部刺激から防御してくれる、非常に大事な層なんです。
で、次の層が真皮。この層の主要成分といえば、みんな大好き「コラーゲン」。
コラーゲン!
コラーゲンが網目を作ることで肌の弾力が保たれるんです。逆にいえば、コラーゲンが減少すると弾力が失われて、シワやたるみになっちゃうんですね。
さらに有名な成分といえば「ヒアルロン酸」。ヒアルロン酸はこの網目の隙間にある、弾力性のある成分です。水分保持力に優れているため、ご存じのとおり保湿成分としても有名ですね。
―なるほど。だからその2つが美容成分としてよく使われているんだー。
ヒアルロン酸、コラーゲン入りの化粧水っていいの?
あれ、じゃあやっぱり、ヒアルロン酸やコラーゲン入りの化粧水をたくさんつければいいんじゃないんですか?
うーん、正直いって、化粧水に入っているヒアルロン酸とかって少量なんです。それにそもそも、化粧水にそこまで保湿効果ってないんです。だって水って蒸発するでしょ。化粧水をたっぷり塗っても、一時的にうるおった質感になるだけで……、塗ったっていう満足感、かな。
それでも化粧水にこだわりたいなら、ビタミンC誘導体配合のものがオススメです。シミ・シワ・たるみ、ニキビなど、幅広いお肌悩みに対応してくれるんですよ。

あ、そうだ。ちなみにですが乳液でフタ、っていうのもそれほど期待できません。やっぱり皮膚の内側から水分バランスを整えないと。
えー、わたし、しっとりタイプの化粧水や乳液に頼りまくってます。でもそれでこのカサカサですもんね……。
えっと、じゃあそんなAさんのために、次はお肌の「ターンオーバー」についてと、「正しい保湿」について、お話します。
―ターンオーバーかあ……私の人生のターンオーバー期は……。
……(長くなりそうなので)次、行きましょうか。
【「キメ細かいうるおい肌」ってどんなものなの?】②ターンオーバー へ続く!
コスメコンシェルジュ(日本化粧品検定協1級)、 化粧品成分上級スペシャリスト(化粧品成分検定1級)、 アロマテラピー検定1級―― 30代後半。現在敏感肌用コスメメーカーのアドバイザーとして開発その他の分野にて活躍。その知識を活かして女性ファッション・美容雑誌や美容系web媒体に寄稿している。敏感肌の女性の肌悩みを何年も見てきた実体験を元に、的確なアドバイスができるように心がけている。